#028 不可能だ、という説明はいらない
『とても不可能だ、という説明は今までにもうたっぷり聞かされてきました。
あなたにぜひやっていただきたい。いろいろ問題があるでしょうが、
なんとか解決して、この大事業を完成していただきたい』
ウォルター・パーク社長のところに、時の大統領から電話がかかってきた。
誰だって色よい返事はしたいですね。
でも友だちとの軽い約束ではありません(もちろん、軽い約束だから破ってもいいわけではありませんが)
国の威信をかけた大事業・人類史上画期的なことですから、
そうカンタンに答えるわけにはいきません。
しかし、パーク社長はその大事業を引き受けた。
後に、
『こんなむずかしい仕事を引き受けられたのは、
どういう成算があってのことだったのですか?』
と尋ねられて、パーク社長はこう答えた。
『数年前のことですが、あるひとつの大問題も、
実際には、たくさんの小さな問題の集合体にほかならない、
ということを私は悟ったのです。
不可能な問題に取り組むには、それを小さないくつもの問題に分解し、
一問ずつ順次に解いていくことです』
と答えました。
さて、ではこの国家的事業とは何か?
ジョン・F・ケネディ大統領から、
マクドネル・ダグラス社・ウォルター・パーク社長にかかってきた電話は
『パークさん、月に人間を着陸させたいので、
強力なブースターを搭載したロケットが必要なのです。
とても不可能だ、という説明は今までにもうたっぷり聞かされてきました。・・・・』
という内容だったのです。
1961年5月25日アメリカ両院合同議会におけるジョン・F・ケネディ大統領は、
「…私は、今後10年以内に人間を月に着陸させ、
安全に地球に帰還させるという目標の達成に
我が国の国民が取り組むべきであると考えている。
この時代の宇宙長距離探査の分野で、
人類にとってこれ以上に素晴らしく、
これ以上に重要な宇宙計画はないだろう。
またこれ以上に遂行が困難で費用のかかる計画もないだろう…」
アポロ計画の目標は「1960年代中の月着陸」という挑戦的なものとして宣言された。
その結果、ダグラス社をはじめ、アメリカ中の協力体制の下、
1969年7月20日、アポロ11号が月の「静かの海」に着陸したのです。
